「給食カレー」を私べーこんは心底愛しています。
具材は玉ねぎ・人参・じゃがいも。肉は日によって変化し、チキンやポーク、ビーフなど冠となって給食の献立を彩ります。
おそらく一般的な日本の義務教育を受けてきた人々は、ほぼ例外なく給食カレーの味を知っているはず。
どろっとした粘度の高いルゥ。溶岩で言うところの粘り気が強い昭和新山タイプですね。
味は基本的には甘口。それでも口のどこかに漂うヒリヒリ感は、子ども達を少しだけ大人の気分にさせてくれます。
シンプルだけどコクのある、あの独特の味わいには、今でも月に一度は記憶を思い起こさせる謎の力を感じてしまいます。
そもそも給食にカレーが登場したのは1970年以降と言われています。
当初はライスではなくコッペパンや麺と一緒に供されることが多かったそうです。
カレーとライスを一緒に食べるという文化は今となっては当たり前ですが、ジャパニーズカレー史黎明期では贅沢な組み合わせだったのかもしれません。
さて、話がそれてしまいましたが、今回ご紹介するのは、私が愛する給食カレーの雰囲気を醸しながらも、奥深い旨さと贅沢を兼ね備えた素敵な一皿です。
見逃すべからず。近鉄大久保駅の隠れグルメ。
場所は京都府の近鉄大久保駅。お茶や平等院で有名な宇治市。急行が止まる有り難い駅です。
その駅の東口側に例の店はございます。
東口のエントランスです。
こちらを左へ曲がると、その店は姿を現します。
今回の目的地PARLOR NEWKYOTOでございます。
今日はどこの台がアツいかな?
軍資金を確認したら、早速店内へ参りましょう。
はい、冗談です。
申し訳ございません。
隣にございますこちらのお店が、今回の本当の目的地です。
その名も「うどんそば大久保店」
いやぁ、なんて潔い名前なんでしょう。
というよりも、
「本当にこの店名であっているのか?」
記事を書いているこちらが心配になります。
立地としては駅の改札外にあるので、通り掛がけにもふらっと立ち寄れます。
券売機で前払い制です。
メニューはご覧の通り、うどんやそば以外にカツ丼や定食も。
お酒もよりどりみどり。
そんな群雄割拠の中に私がハートを奪われた彼がいらっしゃいます。
和牛カレーライス 430円。
彼の名は「和牛カレーライス」。その価格430円。
大抵の一見さんは、430円のカレーに和牛が本当に入っているかという疑問と不安と期待が入り混じった感覚を覚えます。
それでも、食券後ろのボケた背景をご覧いただければ分かる通り、こちらのうどんそばの名物は「カレー」のようです。
少しだけコンフィデンスを取り戻しつつ、早速店内へ歩みをすすめます。
店内の壁にはサイン色紙とお酒のメニューが並んでいます。
当時店内は立ち食い客で満席でしたが、そのうちの一人に話を聞くと昼も夕も夜もここで済ませているとのこと。
地元に愛される食堂兼居酒屋なんですね。
店内のポスターです。
秘伝の青唐辛子しょうゆに近江米100%といった、飲食店としてのこだわりも随所に感じます。
特別洒落ているわけではないし、派手さもないけど、なんでしょう。こういう不器用な主張には好感が持てます。
そうこうしているうちに本日の一皿が到着です。
厚切りの和牛様がしっかりいらっしゃいます。430円。
誰がどう見てもザ・カレーです!THE CURRY!
こういうシンプルなカレーを食べられるお店って本当に減りましたよね。
先日ご紹介したスパイスカレーや、ネパールカレーなども大好きなのですが、日本人のハートが騒ぐようなシンプルなカレーライスを受け入れるためだけの胃袋を私はいまでも大切にしております。
さて、当時の私はふがいないことに空腹を押さえきれず一気に食べ進めた結果、気付けば一番大切なカレー本体の写真をなんと1枚しか残していませんでしたので、ここからは貴重なトップ画を隅から隅までご覧になりながら読み進めて下さい。
まず皆さんに注目していただきたいのは、画像は中央部にございます、ひと際立体的なオブジェクト。
こちらがかの有名な「和牛様」でございます。
厚くカットされたバラ肉は、じっくりと煮込まれトロトロとプルプルを存分に主張されておりました。
怖れ多くも口に運ばせて頂きましたが、品格がにじみ出ていました。
濃厚な肉の旨味が、和牛らしい上品な香りをまといながら宮中散策されております。
いや、申し訳ございません。だいぶ言葉がおかしくなりました。
しかし、このカレーの魅力はなにも和牛様にとどまりません。
カレーの最重要ポイントのルゥの旨味やスパイスの香りもとても430円とは思えない内容です。
完全に私べーこんの感覚なのですが、かろうじて原型を残している玉ねぎの濃厚なコクが絶対的な基盤となり、その上にどこかフルーティな甘みと香辛料のお囃子が組み上げられております。
給食カレーよりもルゥの粘度は若干緩め。
しかし、それは旨味の濃さゆえのあえての構造と私は捉えました。
さらにカレーの恋人であるライスは近江米100%。やや固めの炊き上がりは相性抜群です。
付け合わせの福神漬けは定番の甘じょっぱいクリムゾンレッド。
キャベツの千切りも軽い口直しとビタミン・食物繊維補給をサポートしてくれます。
これだけの魅力が430円の一皿に詰まっているって?
まさにAmazing!
穴場中の穴場カレーを発見することができて幸せとおなか一杯です。
ほかにも和牛カレーライス以外にかすうどんや、スタミナうどんなど、関西らしい魅力的なメニューもたくさんあるので、少しずつ味わい尽くさねばなりませんね。
なお、今回のランチ所要時間は約10分。この記事の文章量、約2,100文字です。
中身の濃すぎる430円でした。
今回もごちそうさまです。
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