人工肉と培養肉の違いは?注目され始めた背景や今後を解説!

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どうも、べーこんです。

皆さんは人工肉、または培養肉という言葉を聞いたことはありますでしょうか?

日本で暮らしていると接点はまだほとんどない思いますが、実は世界中で急激に注目され始めているキーワードとなっております。

今回は人工肉と培養肉についての定義、注目されている背景、そして今後について自分なりにリサーチしてみましたので、簡単にご紹介させていただきます。

人工肉とは?

人工肉とは、大きく2種類に分けられます。

ひとつは「大豆や小麦などの植物性タンパク質を肉のように加工した食品」で、「植物肉」や「代替肉」とも呼ばれます。

つまりは肉とは言いながらも、ベース原料は植物由来ということです。主にベジタリアンやヴィーガンの方々に愛されています。

すでに多くの企業が商品化を行っておりますが、なかでも世界的に有名なのがアメリカのビヨンドミート社です。

ビヨンドミートが発売しているビヨンドバーガーは、その再現度の高さから購入者の90%が非菜食主義社とも言われており、アメリカでは肉ではないのに精肉エリアに陳列されているそうです。

なお、残念ながら日本ではまだ販売はされておりません。


そして、もうひとつは肉の細胞を人工的に培養した「培養肉」を指します。

培養肉については次項にて解説いたします。



培養肉とは?

培養肉とは、人工肉のなかでも特に「牛や豚などから採取した細胞を培養した食品」を指します。

ベースが肉そのものであるため、植物由来の人工肉とは全く異なる食品となります。

※以降、本ブログでは植物由来の人工肉=植物肉、肉由来の人工肉=培養肉、と定義します。

なお、培養肉は人工肉と違って一般的な商品化がまだ実現できていません。

細胞の立体的な培養には技術・生産性のハードルが高く、2013年にオランダの研究班が作った200gパティのハンバーガーは当時の価格で約3000万円もしたそうです。

ただしその後、世界的な需要の高まりや技術の進歩などにより、培養肉の商品化は現実味を帯び始め、2020年12月2日には、アメリカのイートジャスト社がシンガポールより、鶏肉の培養肉の販売許可を得ました。

参考記事:「培養鶏肉」の販売、シンガポールが承認 世界初

注目されている背景

環境問題

食肉の生産は環境負荷、特に地球温暖化への影響が大きいことをご存知でしょうか?

特に牛肉の生産に関しては顕著で、世界の温室効果ガスの総排出量のうち、14%が農業生産から排出されており、うち65%が牛肉由来と言われています。

牛は牧草を消化する際に、口に戻しながら食べる「反芻(すう)」により多量のメタンガスを発生させており、これが地球温暖化につながっていると言われています。メタンガスは二酸化炭素の25倍の温室効果があるとされています。

世界では、電気自動車の普及促進や炭素税の導入など脱炭素化の動きが活発になっており、当然牛肉生産への視線も年々厳しくなっています。


その他、牧地の確保のために森林が破壊されたり、飼育のために大量の水が消費されたり。
飼料生産段階での環境負荷も大きな問題として取り上げられております。

参考記事:バカにできない?肉の生産で出る温室効果ガス

食糧問題

世界人口は今後増え続け、2050年には90億人程度に達する見込みです。

そして一人当たりのGDPは2010年と比べてアジアは3倍、アフリカは5倍になるそうです。

経済発展が進むと食生活のグレードも上がるため、大幅に膨れ上がる食糧需要が需給バランスを大きく崩す可能性があるのです。

近年中国が急激に発展し、日本でもサンマ価格が高騰したことも記憶に新しいと思いますが、さらにスケールの大きいことが今後起こると想定されております。

食肉に関しても供給不足に陥る可能性が高いため、より生産効率の高い人工肉に期待する声が多くなっています。


参考記事:食糧危機の“救世主”なるか 「人工肉」の期待と課題

嗜好の多様化

前述したとおり、世界では食に対する嗜好の多様化が進んできており、アメリカのヴィーガン人口は2017年に1960万人に達し、これは2014年比600%とのことです。

ヴィーガンの増加要因のひとつに、「動物愛護」的な側面があります。

つまり家畜の屠殺に対して抵抗感をおぼえる方々が菜食主義になるケースですが、屠殺を伴わない人工肉はそのような課題に対するクリティカルな答えとなっているため、注目されているわけですね。

以上の特性から、人工肉はクリーンミートとも呼ばれています。


参考記事:英国でビーガンが急増、しかし関係者からも衝撃的な発言が相次いでいる

人工肉関連企業

簡単ではありますが、人工肉に関連する代表的な企業をいくつか抜粋してみました。

ビヨンドミート

  • 創業:2009年
  • 本社所在:アメリカ
  • 強み:植物由来の人工肉生産。NASDAQ上場。ビルゲイツが22.91%出資。


インポッシブルフーズ

  • 創業:2011年
  • 本社所在:アメリカ
  • 強み:植物由来の人工肉生産。食味がビヨンドミートを超えているとの声。Googleから買収打診があったが、条件が合わず破断となった。


大塚食品

  • 創業:1955年
  • 本社所在:日本
  • 強み:ボンカレーなど有名食品を製造販売。2019年より大豆ベースの植物肉ゼロミートを販売している。


インテグリカルチャー

  • 創業:2015年
  • 本社所在:日本
  • 強み:細胞培養スタートアップ。培養肉や培養皮革などの生産効率化に向けた研究を行っている。


まとめ

いかがでしたでしょうか?

人工肉は響きこそ不気味な印象がありますが、人類や地球の未来を救う可能性のある最新の食品技術として期待されていることが少しでも伝われば幸いです。


それにしても世界で最も有名なビヨンドミートですら2009年創業と、非常に若い業界であるため、今後の成長が非常に楽しみですね。

しかも、培養肉に関してはまだ商品化しているケースが限りなく少ないため、植物肉に比べて圧倒的に伸び代が大きい分野となっております。

現段階では興味のない方々がまだ多いと思いますが、トレンドからすれば今後間違いなく無視できなくなる分野です。

なお、ビヨンドミートなどの一部株式を上場しているケースもありますので、私は個人的に出資して応援してみようかなと現在検討中です。

あとは、すでに商品化されている植物肉に関しては、一度購入して実際に食べてみようかなと考えております。

知らない世界を知るためには、とりあえず片足でも踏み込むことが大事ですよね。





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