つけ麺やラーメンのクオリティにおいて、大阪は東京に絶対敵わない。
4年前、私はそう思いながら大阪に転勤してきました。
食べ盛りの大学生活をまるまる東京で過ごしていたので、つけ麺屋さんには相当数通っていたという自負があります。
評価は分かれると思いますが、都内各地にある某有名サムライ系つけ麺チェーン、麺屋●●を全店制覇した程度には基本を押さえているつもりです。
そんな人間が4年大阪に住んでみて、今はどうでしょう。
さすがはダシの文化が息づく街。
いくつもの店に足を運びましたが、基本的にスープの塩辛さは東京ほど強くないのに、味は決して薄くないのです。
最後まで飲み干すタイプではなかった私がいつのまにか丼の底に達することも増えてしまいました。
ラーメン、つけ麺のその高品質ぶりには文字通り舌を巻く日々を楽しませていただきましたが、唯一私が麺で感動を覚えた店がありました。
帰ってきた宮田麺児
麺に全てを賭けたといっても良い、私が大阪生活を送る中で、定期的に通い続けたつけ麺屋です。
シャンプーハットてつじプロデュースの名店
大阪ミナミの歓楽街、心斎橋から徒歩6分くらいの場所。
最寄りは地下鉄長堀橋駅付近。ここに宮田麺児はあります。
こちらのお店、大阪を中心に活動しているお笑いコンビ、
シャンプーハットのてつじがプロデュースしているつけ麺屋になります。
ひとつ立つノボリには「究極の小麦麺」の文字。
麺にかける思いが早くも軒先まで漏れています。
実はこちらのお店、惜しまれつつも一時的に閉店していた期間がありました。
その理由としていた麺と小麦の更なる進化を見事果たして、2016年にリニューアルオープンしています。
宮田麺児渾身のメニューは上段の3種類。
- 小麦の大吟醸 中太平打ちウィング
- 小麦のエスプッソ 中太ストレート
- PMタリアテッレ 平打ち
ちなみに、宮田麺児のメニューに並ぶスープは1種類のみです。
そこへ麺が複数種類用意されているという、まさに麺を楽しむための店です。
小麦の大吟醸と小麦のエスプレッソは定番のラインナップ。
もう一つは時々変わるメニューです。
前回来たときは「黄金のたまご麺」のような名前でした。
私はここにある全種類をいただいていますが、中でも一番のお気に入りは、
小麦の大吟醸
好みは人それぞれですが、私はこれ一択!
今回も当然のように、これをチョイスしました。
店内はてつじの小麦愛でいっぱい
よく芸人が副業的なノリ?で飲食店経営に進出している話を聞きますが、成功しているのは一握り。
関西では一番有名なのは、たむけんの焼肉でしょうか。
てつじの場合はプロデュースという形らしいので、経営とは少し違いますが、この小麦や麺にかける真っ赤な情熱、私は嫌いではありません。
清潔感とてつじ溢れる客席
並んではいましたが、10分少々で席へ案内されました。
木目のテーブルとチェアが温かみを感じさせる店内です。
金属製のコップがさっそくセットされています。
忙しい時間帯にも関わらず提供される丁寧な接客には感謝です!
そして、アップでの撮影はしていませんが、
遠目でもわかるてつじのプロモーショングラビアがそこら中に貼られています。
ここまでトータルプロデュースされている芸能人店はなかなかないのでしょうか。
店内の雰囲気を楽しんでいるうちにオーダーした品が到着しました。
磨かれたウェーブ麺とベジポタスープの相性が◎
小麦の大吟醸の着丼です。
まず目に飛び込んでくるのは、その特徴的な麺です。
超立体的なウェーブ麺はV字に出力されたような断面。
ツルツルシコシコとした食感にもかかわらず、
この構造のおかげでスープとの絡みを補完してくれています。
麺自体からは小麦の爽やかかつほんのりと甘い香りがしっかりと感じられます。
この小麦の大吟醸を、公式サイトでは次のように表現しております。
小麦の可能性を極限まで研ぎ澄ます。
出典:帰ってきた宮田麺児公式サイト
小麦を半分以下まで削って製粉した小麦の核心。
内側に秘めた、「旨味」「香味」「甘味」「渋味」「苦味」「酸味」「辛味」全てを引き出した、小麦史上究極の味とキレ。
七色の味がする麺はまさに小麦の虹。
心ゆくまで、すすって酔いしれてください。
日本酒の大吟醸には使用する米の周りを50%以上磨くという定義がありますが、小麦の大吟醸にもその考え方を応用したとのことです。
辛味までは私の舌では感じられませんでしたが、繊細な小麦の味を十分に味わえるのは間違いなし!
みずみずしい麺の舌触りもかなり好みです!
そして、宮田麺児の魅力はこだわりの麺だけにとどまりません。
個性派揃いの麺たちを完璧にまとめあげているのがこのスープです。
豚骨や鳥パイタン、魚介系が幅を利かせる昨今のつけ麺業界ですが、このスープの基本となるのは、ビシソワーズやコーンスープ。
そこへ数種類の野菜やあさり、魚介エキスを加えることで完成する、
いわゆるベジポタ系といわれる新勢力です。
このスープに、さらにアクセントとなる具材が次の通り加えられています。
これらの具材は、一般的なつけ麺において具材と呼べる程のものではないと思います。
しかし、宮田麺児において具材は玉子やネギ、レモンの他、これらの2つのみ。
なぜなら、ここでは何よりも小麦と麺が主役だからです。
そのようなコンセプトの中で、選び抜かれた、ひき肉とトマトには本当に感動しました。
特にトマトに関しては、ベジポタスープの魅力を数段階引き上げる決定的な仕事をしているのです。
フレッシュなダイスカットトマトのフルーティー感は、ベジポタ系スープに潜在的に潜む野菜の爽やかさを一層引き立て、小麦の香りと合流し、やがて口の中で一体となります。
ここまで完璧にトータルコーディネートされたつけ麺は、ここに来るまでは食べたことがなく、私に新しい概念を与えてくれました。
全ては麺を引き立てるために作られたつけ麺。
大阪生活が残り半月足らずとなってしまった私が4年間で20回以上は通った、芸能人の店なのに悔しいけど好きになってしまった、帰ってきた宮田麺児。
濃厚一辺倒、コッテリだらけのつけ麺の世界において、このお店が一石を投じたのは間違いありません。
みなさんも機会があれば、麺と小麦を味わいにぜひお越しください。
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